MPSロゴ 「ArdSCSino」で使えるディスクイメージを作る トップページに戻る
はじめに
当記事では諸般の事情で「〇〇カード」を「TFカード」として表記していきます

ArdSCSinoのディスクイメージ管理は、かなりインテリジェントな作りで最初の8文字の命名規則さえ守れば
RaSCSIや変換番長で使っていたディスクイメージをそのまま引っ越すことができます。ただし、それは同じ
SCSIボードで接続していた場合で、SCSIボードが異なる場合はPC-98側で再フォーマットが必要です
(マルチベンダ対応のSCSIボードの場合、ディスクパラメータを合わせてあげれば読める可能性があります)

なので
「RaSCSI」で使えるブランクディスクイメージ詰め合わせセット
「変換番長PRO」で使えるブランクディスクイメージ詰め合わせセット
のアーカイブファイルから適当な容量のブランクディスクイメージを展開して、ファイル名を変更してあげれば
そのまま、その容量のハードディスクが作れるわけです

ArdSCSinoのディスクイメージ命名規則
HDxy_zzz ~好きなファイル名(拡張子は見ない)
x:SCSI-ID
 SCSI-ID 0から6の間で空いている数字を割り当てる
y:SCSI-LUN
 98のSCSIボードではLUNが使えるかどうか分からないので常に"0"
zzz:セクタサイズ
 SCSIハードディスクは512、CD-ROMは2048、SASIハードディスクは256
好きなファイル名
 必要なければこの部分は記述しなくても良い
拡張子
 ArdSCSinoはディスクイメージの拡張子を見ません。98エミュレータ
 などで拡張子が必要な場合はつけてください
例:SCSI-ID 0にMS-DOSをインストールしたハードディスクイメージを割り当てる
HD00_512 MS-DOS
同じ要領でSCSI ID 1以降にディスクを割り当てる場合は
HD10_512 ~~~~
HD20_512 ~~~~
という感じで(注:PC-98のSCSIディスク同時割り当て数は4台まで)

なお、最新版のArdSCSinoはCD-ROMをサポートしています。CD-ROMをマウントする場合は
CD10_2048 GAMEDISK ※SCSI-ID 1に割り当てる場合
と、ファイル名を指定してください

ちなみにCD-ROMは現時点ではArdSCSinoを動作させながら中のCDイメージを切り替えるとかいう器用(?)な
ことはできません。CDイメージを切り替えるには一度PC-98の電源を落として、TFカードをWindowsマシンに
接続してエクスプローラーで手動で切り替える必要があります、実装発展途上の機能だから仕方ないね

そういえばCD-DAの再生までサポートしたSCSIエミュレータは存じ上げません、あるのかな?
→あるみたい(MacSD)

これ、PC-98や一般的なPC互換機の場合どういう挙動を起こすのかな?気になる

ハードディスクイメージを自前で作る場合
これも「RaSCSI」で使えるディスクイメージを作るの方法が応用できますが、もう少しシンプル+応用を
効かせるという意味で新たに説明します

まずTFカードのフォーマット。32GB以下は基本的にFAT32ですが、それを「exFAT」でフォーマットすると
ディスクアクセス速度が少し上がるようです(100KB/s程度のようですが)。ArdSCSinoのライブラリはexFATを
サポートしています。RaSCSIなどほかのSCSIエミュレータと共用を考えていない場合は思い切って
exFATにフォーマットしてしまうのもアリかもしれません。Windows10以降なら標準でサポートしています


「SCSIエミュレータの為にディスクイメージを作る専用のWindows用ツール」が存在しないので
PC-98エミュレータを使います(いや、厳密には存在するけど自社製品以外で使ってOK?なやつなので)

・Neko Project21/Wを使って作る
数あるPC-98エミュレータのうち、現時点で一番多機能かつ更新頻度が高いNeko Project21/Wを使います

公式サイト:Neko Project 21/W
NP2W SEL1
Emulate→New disk→Hard disk imageからハードディスクイメージを作る

NP2W SEL1
・Neko Project21/Wと環境を共用する場合は「RaSCSI harddisk image files(*.hdn)」を選択
 ファイル名は前述のとおり「HD?0_512.hdn」(?は割り当てるSCSI-ID)で指定
 ブランクディスクイメージの書き込み先をTFカードのドライブにして[保存]
 
 純粋にディスクイメージだけを作る用途の場合、ディスク形式は何でもよい

NP2W SEL3
イメージファイル名を決めた後、こういったプルダウンメニューが出てきてある程度既定の容量で
イメージを作成できる(気に入った容量がメニューに無ければ手動で数字を入れる)

容量まで決まったら[OK]を押してブランクディスクイメージをTFカードに書き込んでください

ちょっと技術的な話
PC-98のハードディスク管理はC(クラスタ)/H(ヘッド)/S(セクタ)で管理されています
IDE-HDDは98で採用されてから最後期の機種(8GB壁機)までヘッド8/セクタ17(Cは可変)で
管理されてきたため、機種を問わずIDE搭載機間ではデータ読み書きの互換性がありましたが
SCSIは元々自社製SCSIインターフェース―自社製SCSI-HDDという組み合わせで展開されて
いたので、他社製品との組み合わせはPC-9801-92が出るまであまり考慮されていませんでした

Neko Project21/WのSCSIはPC-9801-55互換のディスクパラメータ(ヘッド8/セクタ25)を使用
しているので、共用を考えている場合は上記パラメータをサポートしたSCSIボードを使用する
必要があります。ちなみにPC-9801-92互換パラメータはヘッド8/セクタ32(クラスタは可変)

ま、早い話が「SCSI規格は汎用性があるが、98のSCSIに汎用性を求めるな」ですわ
SCSI2規格の新世代のCバスSCSIボードは92パラメータで統一されたようですがSCSI1は…