MPSロゴ PC-9801USのひとりごと<ハードディスク編> トップページに戻る
2000年代初頭から令和の今に至るまで「PC-9800シリーズ最小の32bitデスクトップ」という位置づけから
今でも根強い人気を持つ機種、その機種の名は「PC-9801US」

PC-9801US基本スペック(NEC LAVIE公式サイトより)

今でも検索するとアップグレードや修理のサイトがいくつかヒットします。その辺の情報はそのサイトに任せて
ここではそれらのサイトでは多分扱っていないであろうニッチな情報をだらだらと記述していきます

・PC-9801USと内蔵ハードディスク
意外と触れられていない内蔵ハードディスクの話
「従来の機械式ハードディスクの代わりにコンパクトフラッシュに置き換えだ~」というのは見かけますし
置き換え可能です(コンパクトフラッシュやCF-IDE変換アダプタの相性ことはここでは語りません)

じつはPC-9801US(以下US)は、PC-9801NSから続く「IDEハードディスクの容量を決め打ちする機種」の1つです
その決め打ち対象がどこまであったかは定かではありませんが、メーカーや個体によって微妙に容量のバラツキの
あるハードディスクを、NECがカタログスペックに合わせるために容量制限を施した、という説があります

その容量81MB!
ラインナップに80MB HDD搭載機があったので、それに合わせた容量になっています

一部では初代PC-9801NS-20から無印PC-9821のIDE-HDD搭載可能機のIDEインターフェース仕様を
「第0世代IDE」と呼んでいるそうです(第1世代は初代PC-9821A-MATEやB-FELLOWあたりから)

実際にはUSも一部で有名な「544MBの壁」対象機種のため、544MBまでのディスクを搭載可能です
またIDE-BIOSにパッチ(後述)を当てれば、4.3GBまでのディスクを搭載可能となっています

そういう仕様なのでUS自体でフォーマットする限り、どんなに大きい容量のディスクでも
80(81)MBに容量制限されます。逆に考えれば普通4.3GB以上のディスクを接続すると起動時に
フリーズしてしまう後のPC-98と違い、80GBを容量クリップ無しで接続しようともフリーズせず
80MBのディスクとして使えるわけですが(容量1000分の1ですね)

では「80MBの壁」を回避して544MBとして使うにはどうすればいいのか?従来の方法では
「別のIDEインターフェース搭載PC-98に接続してフォーマットする」が一番現実的です

普通に考えればその方法でいいのですが、もしもUS 1台しか持っていない、もしくは他に
IDEインターフェース搭載のPC-98を持っていない場合はどうすればいいのでしょうか?
その辺が他のUSの話題を扱っているサイトでも意外と抜け落ちている「落とし穴」です
もちろん80MBで十分ならば、この話題は無意味です、ですが大きい容量欲しいですよね?

・USだけで80MBを超える!その名はclmodify
ちなみにこの手法はUS以外の容量制限機でも多分応用可能です

544MB制限を4.3GBに拡張するソフトは有名な、こうのたけし氏作「Revisor for Enhanced Ide(REI)」や
まりも氏作「EXIDE543」などが存在しますが、容量制限機の制限を撤廃するフリーソフトは実は見たことが
ありません(もしかしたら過去には存在したのかもしれませんが)
※「REI」はフリーソフトじゃないぞ!?というツッコミは分かってるので指摘しないでください

「このまま存在しなかったらUS以外のフォーマット手段がない我々は80MBで諦めるしかないのか」

と白旗を上げるしかない状況かと思いましたが、ありました!SNSで親切な方が教えてくださいました!

その名はREIと同じく、こうのたけし氏開発「clmodify/ideinfo」(vector)

まずUSでシステムブート可能なフロッピーディスクを作成します。あとは上記リンクからアーカイブを
ダウンロードしてきてフロッピーディスクにデータをコピーします。USは幸いにも?3.5インチ機なので
3モードのUSBフロッピードライブさえ持っていれば、実機とのデータ交換は容易です

まずIDEINFO.COMを実行します。上記のような画面になります
(接続されているIDEハードディスクによって表示は異なります)

「BIOSワーク設定」が現在BIOSに認識されているハードディスク容量(80MBですね)
「ディスク容量」が接続されているハードディスクの実際値です(コンパクトフラッシュを使用しています)

各種ステータス情報の一番下部にある「BIOSシリンダ数」の数値を覚えておいてください(画像では7359)

今度は、もう1つのプログラム「CLMODIFY.COM」を先ほど得られたシリンダ数を引数に付けて実行します

ここが動作の分かれ目みたいで、コンパクトフラッシュによってはすぐ「常駐しました」と返すものや
「フリーズしたんじゃない?」と不安になるほど常駐するまで時間がかかるもの、そもそも常駐せずに
フリーズしてそのままになるものなど様々です。普通の機械式ハードディスクではおそらく起こらない現象です

無事に常駐出来たら普通にフォーマットを立ち上げてください、ディスク本来の容量が表示されるはずです

後は通常通り、フォーマット・領域確保・システム転送などの作業を行ってください
これで80MB超のハードディスクとして使用できるはずです

・REIとEXIDE543
今回は「80MBの強制制限を突破する」がテーマなので、544MB~4.3GBの拡張については取り上げないのですが
今までREI一強(?)だったPC-98の544MB壁突破事情に新しい風、まりも氏の「EXIDE543」が吹き込んで
きたので試してみました

こうのたけし氏開発「Revisor for Enhanced Ide(REI)」
まりも氏開発「EXIDE543」

Revisor for Enhanced Ide(REI)に関しては詳細なドキュメントが付属しているのと、検索してみると今でも
取り扱い方法を紹介しているサイトがいくつかヒットするので、ここでは取り上げません

PC-9801USでEXIDE543実行→無慈悲なエラー表示(知ってた)

ちなみに近い時期に発売された機種PC-9821無印でもダメでした(CeはOK)、そんなワケでREIの地位は
まだまだ安泰です。544MB壁のあるノート型でREI・EXIDE543共々非対応なのは、IDE-BIOSの位置に
レジューム用のBIOS関係がバンク切替で同居しているためで、それを知って実行(できるのか?)すると
色々とヤバいことになるらしい(ノート機は直接ITFの書き換えが必要)

おしまい