MPSロゴ PC-9801USのひとりごと<Cバス籠編> トップページに戻る
・PC-9801USの「Cバス籠」のおはなし


PC-9801USの2MBの61SIMMしか内部増設できないメモリと合わせて、時々話題になる「増設先」Cバス籠のネタです

同時期の機種が軒並み内部メモリ10MB以上増設できる中、物理的な制限があるとはいえ標準搭載合わせて増設しても3.6MB
後は遅いCバスメモリか、さらに遅いノート用メモリカードしか選択肢がないという、中途半端にCPUパワーがある故
色々と惜しい機種PC-9801US(Windows3.1を動かそうとした人もいた=3.6MBでも3.1は動くが)

そんな「内部増設で3.6MBを超えることに夢見る者」は昔から一定数いましたが、結局はその方法が見つからず
現状に甘んじるしかないという状況です

ことSIMMメモリスロットが載っているCバスライザーには昔から様々な憶測が流れていて、386SXが16bitデータ
バス機なのも相まって「メモリとCバスは一部信号線を共有している」という根拠のない憶測も囁かれたりしました

しかし、その「根拠」を証明する者も現れず、元号は平成から令和へ、USも発売から30年を超えました

そんな中54SIMM61SIMMのピンアサインが解析され、SIMMの仕様的に2MBを超えるのは不可能なことが分かります
じゃあ土台に隠された信号線はないか?と、公開されているCバス信号一覧と合わせて、USのCバス籠の解析をしました

結論から書くと「ある」

ただし、それが有効かどうかは分からないのが現状です。どうです?また夢を見てみませんか?

余談ですが、486以前のPC-9801は基本的に機種ごとにメモリライザーが異なっていました。共用できるのはEX/RXと
DA/RA21とFS/FXとFA/A-MATE初代/B-FELLOW初代です。特に386SX搭載機はメモリライザーボードの数も少なく
比較的後期のPC-9801FS/FX/DSですらライザーボードを入手するのに大変な苦労を必要とします。なのでUSが
メモリ搭載可能数が少ないとはいえ、ライザーボード方式じゃなかったことにほっとしています


PC-9801USのCバス籠のピン数はA01-A90/B01-B90の合計180ピン、NESAボード籠と同じコネクタ使ってる?

番号 信号 備考 番号 信号 備考     番号 信号 信号 番号 信号 備考
A01 VCC A46 AB041 CA08     B01 VCC B46 DB041 CB08
A02 GND A47 AB051 CA09     B02 GND B47 DB051 CB09
A03 LWE#1 M02 A48 AB061 CA10     B03 NC B48 DB061 CB10
A04 RAS#0 M03 A49 GND CA11     B04 CAS#0 M04 B49 GND CB11
A05 A8 M05 A50 AB071 CA12     B05 A7 M06 B50 DB071 CB12
A6 GND A51 AB081 CA13     B06 GND B51 DB081 CB13
A07 A6 M08 A52 AB091 CA14     B07 A5 M09 B52 DB091 CB14
A08 A4 M10 A53 AB101 CA15     B08 D16/D0 M16/M12 B53 DB101 CB15
A09 D17/D1 M20/M13 A54 BA111 CA16     B09 D18/D2 M22/M14 B54 DB111 CB16
A10 GND A55 AB121 CA17     B10 GND B55 DB121 CB17
A11 D19/D3 M24/M15 A56 AB131 CA18     B11 D20/D4 M28/M17 B56 DB131 CB18
A12 D21/D5 M29/M19 A57 AB141 CA19     B12 D22/D6 M30/M21 B57 DB141 CB19
A13 D23/D7 M32/M23 A58 AB151 CA20     B13 OE#0 M26 B58 DB151 CB20
A14 GND A59 GND CA21     B14 GND B59 GND CB21
A15 LWE#0 M27 A60 AB161 CA22     B15 NC B60 12V CB22
A16 NC A61 AB171 CA23     B16 PARITY DIN0 M33 B61 12V CB23
A17 NC A62 AB181 CA24     B17 PARITY DIN1 M34 B62 IR31 CB24
A18 GND A63 GND     B18 GND B63 IR51 CB25
A19 NC A64 AB201 CA26     B19 NC B64 IR61 CB26
A20 NC A65 AB211 CA27     B20 OE#1 M39 B65 IR91 CB27
A21 NC A66 AB221 CA28     B21 NC B66 IR101 CB28
A22 GND A67 AB231 CA29     B22 GND B67 IR121 CB29
A23 NC A68 INT0 CA30     B23 CAS#1 M47 B68 IR131 CB30
A24 NC A69 GND CA31     B24 RAS#1 M48 B69 GND CB31
A25 UWE#0 M49 A70 IOCHK0 CA32     B25 D31/D15 M44/M50 B70 -12V CB32
A26 GND A71 IOR0 CA33     B26 GND B71 -12V CB33
A27 D30/D14 M45/M51 A72 IOW0 CA34     B27 D29/D13 M52/M53 B72 RESET0 CB34
A28 D28/D12 M55/M54 A73 MRC0 CA35     B28 D27/D11 M57/M58 B73 DACK00 CB35
A29 D26/D10 M59/M60 A74 MWC0 CA36     B29 D25/D9 M61/M64 B74 DACK30 CB36
A30 GND A75 INTA0 CA37     B30 GND B75 DRQ00 CB37
A31 D24/D8 M62/M65 A76 NOWAIT0 CA38     B31 A3 M67 B76 DRQ30 CB38
A32 A2 M68 A77 SALE1 CA39     B32 A1 M69 B77 WORD0 CB39
A33 A0 M70 A78 MACS0 CA40     B33 UEW#1 M71 B78 EXHRQ0 CB40
A34 GND A79 GND CA41     B34 GND B79 GND CB41
A35 VCC A80 CPUENB10 CA42     B35 VCC B80 EXHLA10 CB42
A36 VCC A81 RFSH0 CA43     B36 VCC B81 DMATC0 CB43
A37 GND A82 BHE0 CA44     B37 GND B82 NMI0 CB44
A38 GND A83 IORDY1 CA45     B38 GND B83 MWE0 CB45
A39 GND A84 SCLK1 CA46     B39 GND B84 EXHLA20 CB46
A40 GND A85 S18CLK1 CA47     B40 GND B85 EXHRQ30 CB47
A41 GND CA01 A86 POWER0 CA48     B41 GND CB01 B86 SBUSRQ1 CB48
A42 AB001 CA04 A87 A191 CA25     B42 DB001 CB04 B87 A20 ADRESS PUSH
A43 AB011 CA05 A88 VCC CA49     B43 DB011 CB05 B88 VCC CB49
A44 AB021 CA06 A89 VCC CA50     B44 DB021 CB06 B89 VCC CB50
A45 AB031 CA07 A90 VCC CA50     B45 DB031 CB07 B90 VCC CB50
注1:Cバスの信号名称はWikipediaを参照
注2:備考欄の「M○○」は61SIMMのピン番号を示す
注3:備考欄の「CA○○」はCバスのA面(ハンダ面)、「CB○○」は同じくB面(部品面)の番号を示す
注4:メモリのデータバス番号が2つ表記されているのはPC-9801-54 SIMM対応のため(繋がってる)

B03の赤字で「NC」と書いてあるが、メモリのアドレス線配置から推測するにA9(4Mbit=512KB)メモリ対応の
予約線だと思われる。ただしNCなので当然どこにもつながっていない、また仮に繋がっていたとしても
61SIMM自体にA9アドレスが引かれていないので(A8まで)、SIMMレベルの対応は無理だと推測される

じゃあ何故冒頭で「ある」と書いているのかというと、オンボードメモリ(2MB)にはA9アドレス線が引かれていること
Cバス籠のメモリスロットからA0-A8のアドレス線がバッファを介してオンボードメモリに繋がっていること
(アドレス線は基本的にパラレル接続)

なので、何らかの方法で61SIMMとピン互換の4Mbitチップを装着したメモリを用意し、A9アドレスピンを浮かせて
バッファを介してオンボードメモリのA9アドレスラインに接続してあげれば可能性があるということです
もちろんITFでそこら辺の処理を抑えられてしまえば、たとえ電気的に何とかしても無駄だということになりますが

わたし的に61/54SIMM搭載機のPC-9801 メモリ回りは最後のフロンティアだと思っています。冒頭で機種ごとに
メモリライザーボードが異なっていると書きましたが、異なるのは物理的なコネクタの部分と、CAS/RAS線の本数
(あと32bit機はデータバスの本数)が異なるだけで、電源とかアドレス線の配置は共通だと推測しています

まぁ実際に解析してみたわけじゃないのであくまで推測どまりですけれどね

専用メモリを必要とする機種で「PC-9801US以外どうしてもその機種が必要」という機会はないと思います
PC-9801RA21/DAあたり持っていれば大抵の用途には事足りますし、その機種はよく売れた機種なので今でも
メモリライザーも61SIMMも手に入るでしょうし・・・

おわり