MPSロゴ PM-DOCE98/CE取扱説明書(グラフィカル版) トップページに戻る
この度はPC-9821無印/Ce専用内蔵CD-ROMインターフェース変換&マウント基板「PM-DOCE98/CE」を
お買い上げいただきありがとうございます

この基板は、NECの”初代”MULTIであるPC-9821無印(i386SX搭載 model S1/S2)及び、2代目MULTIの
PC-9821Ce(i486SX搭載model S1/S2)に搭載されている、等倍速仕様のSCSI CD-ROMをSxSIエミュレーション
テクノロジーである「RaSCSI Adapter Lite」または「変換番長」に置き換えます

PC-9821無印/Ceに搭載されている標準CD-ROMは基本信号規格こそSCSIですが、信号ケーブルが独自仕様の為
経年劣化でドライブが故障してしまうと代替品への交換も出来ずに動作しない”文鎮”としてそのまま放置
されるか、取り外して空間にしておくしかありません

また動作していたとしても、前述の通り等倍速(150KB/s)の上、CD-ROMとしては初期の規格の為、CD-Rや
CD-RW、マルチセッションCD-ROMなど後に出来た規格には対応しておらず、読み込めないか読み取りが困難な
微妙に不便なドライブです

PM-DOCE98/CEは、そんな独自ピン仕様の内蔵CD-ROMインターフェースをSCSI標準のピン仕様に変換し、
RaSCSI Adapter Liteや変換番長を本来CD-ROMドライブがあった場所に内蔵・固定して、空きスペースを
有効活用してしまおう、という目的で開発されました

この変換基板の他に

あいぼむプロダクツ 製
「RaSCSI Adapter Lite」+RaspberryPI3
変換番長画像
クラシックPC研究会 製
「変換番長シリーズ」+コンパクトフラッシュ
のどちらかが必要になります。別途ご用意をお願いします

付属内容物一覧
PM-DOCE98/CE基板本体1個固定用スペーサー4個
超短50pinフラットケーブル1個固定用ネジ(M3)8個
専用電源取り出しケーブル1個簡易取扱説明書(本書)1個
別途用意するもの
あいぼむプロダクツ製「RaSCSI Adapter Lite」ご使用の場合
「RaSCSI Adapter Lite」本体
「Raspberry PI3」
「microSDカード」
 
クラシックPC研究会製「変換番長シリーズ」ご使用の場合
「変換番長」本体(初代・PRO)
「コンパクトフラッシュ メモリカード」


組み込み方法~「RaSCSI Adapter Lite」で使用する場合

1:まずPC-9821/Ceのフロントパネルを外し、筐体カバーを開けます。フロントパネル部分を手前として、 左下にCD-ROMユニットが(取り外されていなければ)ありますので、これを取り外します。取り外し方法は CD-ROMユニットの四方にネジが固定されていますので、これらのネジを全て外して、CD-ROMユニットを 引っ張り上げれば簡単に取り外すことが出来ます


CD-ROMユニットを取り外した場所にドライブをを固定していた「カゴ」が残ります


そのカゴの奥側、電源ユニットに近いところに、CD-ROMユニットを間接的に
接続していた小基板がありますので、これを取り外します


まずは灰色のフラットケーブルを引き抜き、カゴを固定していたネジを全て外し、カゴも取り外します。
続いて小基板を四方で固定しているプラスチック・ブッシュを取り外します。
取り外したブッシュは後ほど使用するので、無くさないようにご注意ください


2:PM-DOCE98/CE変換基板にスペーサーを取り付けます。基板上に「RaSCSI Adapter Lite」と書かれている所と 枠線があります、その外周側のネジ穴に「RA」と書かれたものがありますので、そこに裏側からネジを通し、 指で押さえながらスペーサーを仮固定します。その後、スペーサーを指やペンチでつまみながらドライバーで しっかりとネジを締めます。スペーサーに取り付けるネジは変換基板側の4本だけです
※ 製造ロットによっては「RaSCSI Adapter Lite」のシルクや枠線が無い場合があります


3:PM-DOCE98/CE(以下:変換基板)をPC-9821/Ceに組み込みます。変換基板のコネクタ類が密集している側の
四方にそれぞれ穴があります。先ほど取り外したカゴに変換基板を取り付ける際、この4つの穴を小基板が
あった場所に合わせ、裏側から取り外したブッシュを差し込み変換基板を固定します


変換基板を取り付けたカゴをPC-9821/Ceに取り付けます。取り付けの際、変換基板中央部に長方形の穴が開いて いるので、ここに先ほど小基板から取り外したフラットケーブルを通しつつ、カゴを筐体に固定してネジ止めします。 ネジ止めしたら、フラットケーブルをすぐ側のコネクタに差し込んでください


4:続いて「RaSCSI Adapter Lite」(以下:RaSCSI)の準備をします。まずRaSCSIにRaspberry PI3を
取り付けます。続いて変換基板に付属の超短50pinケーブルをRaSCSIのコネクタに取り付けます。
なお、RaSCSIに付属しているネジ類は使用しません


5:RaSCSIを変換基板に取り付けます。先に超短ケーブルのもう片方を変換基板のコネクタに取り付まます、続いて 残りのネジ4個を使ってRaSCSI基板を固定します。超短ケーブルのたわみの影響でRaSCSIのネジ穴位置が若干ズレ るので、反対側から指で押さえながらネジ穴位置を合わせつつドライバーでネジを固定してください

6:変換基板に付属の電源ケーブルをRaSCSIに接続します。まず変換基板に白いコネクタがありますので、そちらに 二股になっていないほうのコネクタを取り付け、もう片方をRaSCSIの電源コネクタに接続します

7:RaSCSI(この場合はRaSCSI Adapter Liteの方ではなくGIMONS氏が開発されたSxSIエミュレーター
ソフトウェアのほうのRaSCSIを指す)の設定を行います
この部分はPM-DOCE98/CEとは直接関係ない部分なのでここでの説明は割愛させていただきます

8:PC-9821/Ceを内蔵IDEハードディスクかフロッピーディスクでシステム起動し、FORMAT.EXEなどで
「SCSI固定ディスク」の表示が確認できれば、PM-DOCE98/CE+RaSCSI Adapter Lite組合せでの
内蔵SCSIインターフェースが動いています、成功おめでとうございます!

組み込み方法~「変換番長(PRO)」で使用する場合

1:まずPC-9821/Ceのフロントパネルを外し、筐体カバーを開けます。フロントパネル部分を手前として、 左下にCD-ROMユニットが(取り外されていなければ)ありますので、これを取り外します。取り外し方法は CD-ROMユニットの四方にネジが固定されていますので、これらのネジを全て外して、CD-ROMユニットを 引っ張り上げれば簡単に取り外すことが出来ます


CD-ROMユニットを取り外した場所にドライブをを固定していた「カゴ」が残ります


そのカゴの奥側、電源ユニットに近いところに、CD-ROMユニットを間接的に
接続していた小基板がありますので、これを取り外します


まずは灰色のフラットケーブルを引き抜き、カゴを固定していたネジを全て外し、カゴも取り外します。
続いて小基板を四方で固定しているプラスチック・ブッシュを取り外します。
取り外したブッシュは後ほど使用するので、無くさないようにご注意ください


2:PM-DOCE98/CE変換基板にスペーサーを取り付けます。基板上に「HENKAN BANCHO」と書かれている所と 枠線があります、その外周側のネジ穴に「BA」と書かれたものがありますので、そこに裏側からネジを通し、 指で押さえながらスペーサーを仮固定します。その後、スペーサーを指やペンチでつまみながらドライバーで しっかりとネジを締めます。スペーサーに取り付けるネジは変換基板側の3本だけです
※ 製造ロットによっては「HENKAN BANCHO」のシルクや枠線が無い場合があります

ただし、長方形の穴が開いている左上の穴にだけはスペーサーを取り付けないでくさい
メインボードからのフラットケーブルを通せなくなります(3点止めになります)


3:PM-DOCE98/CE(以下:変換基板)をPC-9821/Ceに組み込みます。変換基板のコネクタ類が密集している側の
四方にそれぞれ穴があります。先ほど取り外したカゴに変換基板を取り付ける際、この4つの穴を小基板が
あった場所に合わせ、裏側から取り外したブッシュを差し込み変換基板を固定します


変換基板を取り付けたカゴをPC-9821/Ceに取り付けます。取り付けの際、変換基板中央部に長方形の穴が開いて いるので、ここに先ほど小基板から取り外したフラットケーブルを通しつつ、カゴを筐体に固定してネジ止めします。 ネジ止めしたら、フラットケーブルをすぐ側のコネクタに差し込んでください


4:続いて「変換番長」の準備をします。変換番長にPM-DOCE98/CEに付属の
超短50pinケーブルをコネクタに取り付けます


5:変換番長を変換基板に取り付けます。先に超短ケーブルのもう片方を変換基板のコネクタに取り付まます、続いて 残りのネジ3個を使って変換番長基板を固定します。超短ケーブルのたわみの影響で変換番長のネジ穴位置が若干ズレ るので、反対側から指で押さえながらネジ穴位置を合わせつつドライバーでネジを固定してください

6:変換基板に付属の電源ケーブルを変換番長に接続します。まず変換基板に白いコネクタがありますので、そちらに 二股になっていないほうのコネクタを取り付け、もう片方を変換番長の電源コネクタに接続します

7:変換番長の設定を行います
※変換番長(旧版)/変換番長PRO(新版)の各種付属マニュアルをご覧ください

この部分はPM-DOCE98/CEとは直接関係ない部分なのでここでの説明は割愛させていただきます
SCSIの設定は「PC-9801-55モード」で行ってください。その他の設定では不具合の原因になります

8:PC-9821/Ceを内蔵IDEハードディスクかフロッピーディスクでシステム起動し、FORMAT.EXEなどで
「SCSI固定ディスク」の表示が確認できれば、PM-DOCE98/CE+変換番長の組合せでの内蔵SCSI
インターフェースが動いています、成功おめでとうございます!

おまけ:CD-ROMインターフェースの信号線にオーディオ入力信号(本来CD-ROMドライブから出力されるアナログ 信号)が含まれている関係で基板上にオーディオジャックが装備されています。このジャックからオーディオ信号 を入力すると、内部でミキシングされスピーカーから音が出ますが、この機能は完全に「おまけ」です


PM-DOCE98/CEをPC-9821/Ceで使用する際の制限事項
PC-9821/Ce内蔵のSCSIはSCSI規格に準拠していますが、いわゆる「PC-9801-55U互換」SCSIな為、
SCSIデバイスの取り扱いにいくつか制限があります

・ハードディスクはNECチェックあり方式(RaSCSI/変換番長PROのHDN方式)で、最大容量は400MB頃
※ただし本体ディスクBIOSが拡張されていて、それ以上でも使える可能性があります。それでも2GB頃?

・ハードディスク以外のSCSI機器(CD-ROMやMOなど)や、RaSCSIの「ブリッジモード」も使用できます

・転送速度は所詮DMA転送な為、速くても500KB/s(つまりCD-ROM 3倍速相当)までしか出ません

・PC-9821/CeではSCSIターミネータが有効になっていないとシステムは起動しなくなるようです。なので
RaSCSI Adapter Liteは「TERM EN」ジャンパを有効にする、変換番長の場合はターミネータ用集合抵抗を
差し込む、またはPC-9821/Ce背面のSCSIコネクタにSCSIターミネータを接続してください

・ディスクアクセス状況を確認できるアクセスランプには対応していません。ただしRaSCSI Adapter Liteや
変換番長にはアクセスLEDを付けられますので、各自でLEDの取り付けや固定を行ってください

・CD-ROMを取り外した後はフロントパネルのCD-ROM挿入口が開いたままになるので、ビニルテープでも
貼って目隠しをすることをお勧めします

・PM-DOCE98/CE変換基板は単に独自信号配列をSCSI標準配列に変換+電源取出しを行っているだけなので、
RaSCSIや変換番長を取り付けず、長めの50ピンフラットケーブル+電源延長ケーブルを併用して、
フロントパネルのCD-ROM挿入口からケーブルを出し、実験用として活用する方法もあります

付属の電源用コネクタは5Vの部分しか結線されていませんがコネクタ自体は12Vも出ていますので、
市販の電源ケーブルを使用して5Vや12Vを使用することも出来ます
謝辞
内蔵用RaSCSI変換基板である「RaSCSI Adapter Lite」を開発された、あいぼむプロダクツ 様
http://products.aibom.net

変換番長ほか、クラシックPCに応用の効く色々な周辺ハードを開発されている クラシックPC研究会 様
https://classicpc.org/

そして「RaSCSIテクノロジー」というクラシックPCにとって一番の悩みの種であるストレージ問題の
解決に大革命を起こした「GIMONS DEVELOPER WORKS」のGIMONS 様
http://retropc.net/gimons/index.html

この場を借りてお礼を申し上げます